そして恋人へ

今、優未が通っている学校ではそんな子はいないのだろうか?
何か好きなことに一生懸命な子供にとって
中高一貫校ってやつは余計なことに時間を割かれることなく
授業さえしっかり受けていれば楽しいはずだが

都内の高校を探しながらそんなことを思ったから
日曜日に優未が事務所に来ると、一番にそこを聞いてみた

「そういう子も結構いるんじゃない?
僕は中学の頃から、何とか、姉さんの言うとおりに学歴をつけて
なんとか自分の環境から抜け出すことが目標だったんだ
そうするためには高校入試っていうストレスなしに
中学から大学受験を見据えて勉強できて
すごくよかったんだけど」

すると、優未も

「あ、いるよ!
バイオリンとかピアノに燃えていて
学校なんかどうでもいいって思ってる子とか
やたら、実験が好きで
うちの学校って実験道具は充実してるし
図書館に入り浸っている子
学校に籍は置いているけど、留学してることか」

「そう、中学高校って友達が気が合うとかもいいけど
君が好きなことを思いっきりできるっていうのも
大切だと思うんだ
そうなると、今の学校は悪くない気もするけどね」

優未は少し考え始めた

「ああ、今までママに似た子ばっかりが
周りにいたから気が付かなかったけど・・・」