そして恋人へ

高校に入るってどういうことか康太は知らない
康太は姉のおかげで、中高一貫に通った
男子だけだったが、楽しかった
もちろん、優未が言うように
優未の母のようなタイプが鼻につくのはわかる

育ちがよくて、明白な自分の将来のビジョンを見ていて
親が泣いて喜ぶような真っすぐな奴
親の病院を継ぐ、それは社会的にやりがいのある仕事だ
勉強も大事だが人間性も育てる
たぶん、世の中の常識の教科書のようなマニュアルに忠実
ただ、そういう人間は間違いはないが底が浅い
でも、そんな子供がたくさん集まっている学校は
親には魅力的だろう

康太が自分の学校が好きだった理由は
いいところのお坊ちゃんではあるが、
自分の好きな興味のあることだけに突き進んでいく子たち
もちろん、家は医者だったり弁護士だったりするのだが
そんなこととは全く関係なく、純粋に数学が好きだとか
とにかく誰に言われるでもなく
好きな歴史の世界にだけはまっているやつとか
親の意図をはるかに凌駕して学問を楽しんでいる
そんな奴らは楽しかった