そして恋人へ

康太は気持ちが小学校高学年に戻っていった
あの頃・・・・
母は男と出ていき、父親は帰って来ない
頼みの爺さんはフラフラと毎日、みぃの手を取って
パチンコに行ったり、もとの客引き仲間と
飲みに行ったりと康太のことなど心配もしなかった

康太は朝ご飯の用意をする
爺さんとみぃはまだ、起きてこない
ご飯を炊いて、それに、父親が帰ったときに
たくさん買って凍らせておいた納豆を取り出して
醤油をかけて食べる
爺さんとみぃのために、二パック納豆を冷凍庫から出しておく
いつもお金が入っているバックを見ると
父親が帰ってくるまでには半月以上あるのに
千円と一円玉何個かしか入っていない
爺さん、パチンコに使いすぎだ
給食費はまた、持っていけない

ランドセルは持っていない
安い黒のリュックサックに返さなきゃいけない図書館の本
を詰め込んで、学校に行く