そして恋人へ

「え?私が主人を?
まさか、叔母が見合い相手に連れてきたんですよ
釣り書きだけは立派でしたけどね
あの人、生まれだけはいいから
それに、それまで見合いした人とは全然違って
最初から綺麗だ、やさしい、素晴らしい人
そんな言葉を並べ立てて
私がそれまで行ったことがないようなところに
遊びに連れって行ってくれて
見てくれもいいでしょう?
恋愛もろくにしたことがなかった私は
すぐに夢中になっちゃったわ」

康太は笑顔になって

「そういう話、優未さんに話しましたか?」

「まさか、こんな話娘にするものですか!」

「いや、そういう話、彼女はきっと聞きたいのですよ」

そう言って別れた
優未が母親が父を相手に恋に落ちて
父親の短所すら見えなかった頃がある
そう思えば、もっと、母が好きになるだろう