康太の深淵


そのことの繰り返しの毎日
康太は自分がDVの夫であることに
嫌気がさしながらも
こうして手をあげないと、ミツホの失敗を許すことができず
ミツホも出平手でたたかれるくらいならば
そのあとの康太に抱かれることの楽しみがあるから
そう、傷ついてもいなかった
これが、康太とミツホの夫婦の形なのかもしれない
康太は平手で叩く以上のことは絶対にしなかったのだから

そんな日々のある日
康太がミツホを叩いている、その現場に
ミツホの母が飛び込んできた

「何してるの!
ミツホに何をするの!!!!!」

ミツホはこの場の取り繕い方もわからないし
康太はこんな場面を見られてしまった恥ずかしさに
呆然と立ちすくむだけだった