康太の深淵

家事を手際よく康太がやればいいのだ
そう思っていたが
とにかく片付かない
時間までに料理ができない
それならそれで、康太が全部やってもいいと
やり始めると
妙なマニュアルのような常識は持っていて
自分がやると言い張った

もう、それならそれでいいと投げ出す
しかし、危険なのだ
ヤカンをかけたまま他のことに熱中する
いや、他のことも大概探し物で
料理を始めて、ふっと、あのバックの中に
あったティッシュケースを取り替えよう
などと思い立って、料理は忘れて
そのことに熱中する

康太がちょうど帰って来たからよかったものの
やかんは真っ黒に焦げていた
そして、本人はもっと、気にいるような
ティッシュケースをデパートに買いに行っていた