全く何もないまま

正二は

「そうだよなぁ」

と呟く、その様子を見てミキの方が

「正二さんは今まで学校には通ったことは
あるんでしょう?
さすがに中学の時は諦めていたけれど
小学校の低学年の頃とか
よその家が運動会で普通の優しそうな
両親に囲まれているのを見て
羨ましくなかった?
うちなんか、正二さんに比べれば
ありがたいことに両親はいるけれど
真っ赤な口紅で趣味の悪い服はを着て
タバコを吸いながら応援してくれる母親は
来ないで欲しかったわ
父はいつも仕事で来れなかったけど」

そう言われて正二は思い出した
あの楽しかった運動会