全く何もないまま

ミキは正二が嫌いだった
その若さでこの世界の全てを知り
この風俗という世界をしっかり理解して
店をやっている
儲けも半端ではなく、割り切った仕事
そこに相当な頭の良さは感じたけれど
尊敬には値しない気がしていた

でも、ミキは正二が自分のことを気に入っているのはわかっていた

ミキが一人で待合室で座っていると
ふらっと正二がやって来た
たぶん、ここに来るまでに
正二は相当迷っただろう

何にでも自信満々で仕事を回している
正二がミキの前でだけドギマギする
だから、じいさんや江さん、そして
古手の女の子たちには
みんな正二の気持ちはわかっていた