街の明かり

感じのいい柔らかな医者で

「沢村先生の奥様だそうで
僕は先生の小説の大ファンなんですよ」

そんな話から入る
ここまで来ても爺さんの実家とは思えない

「いえ、お恥ずかしい
すみません、ちょっと、とりとめもないことなんですが
あの、こちらの病院はかなり昔からあるそうなんですが
先生はこちらのお血筋の方なんですか?」

「ああ、はいそうですよ
父も祖父も曾祖父も代々、ここでやっています」

「あ、それならば、あの・・・・・」

ミキは爺さんがこの人と血がつながっているなんて
信じられないから話がしづらい
すると、ショウが見かねて

「僕のひいじいちゃんがここの生まれじゃないかって
聞いたんだけど、戸田康一って言うんですけど
ご存じじゃないですか?」