街の灯り

「あんたんところのじいちゃん、たかちゃんは、もともと、このあたりの生まれじゃないけど
18くらいから知ってるよ
うちの父ちゃんが、駅前の飲み屋でぐでんぐでんになると
よく抱えてここまで連れて来てくれたからね
あたしら、三人姉妹であんたんところのじいちゃん
を待ってたもんだよ
たかちゃんは美男子だったからね~
母ちゃんは父ちゃんが飲みに行くのをえらく怒ってたけど
あたしたち三姉妹はたかちゃんが来るのが楽しみでしょうがなかったよ」

そう言うおばあさんの声は艶っぽくなり
頬がほんのり赤くなった

ミキは意外な話に驚いた
ミキが知っているじいさんは
酒焼けしたしわだらけの顔に
不摂生がたった汚いだみ声に足が悪いから
右を少し引きずる
どこにも、このおばあさんが言うような
美男子の片りんはなかった