速水はこの家で
その叔母の話が出ることが
なんとなくタブーになっていた
この長い年月を思った

特に康太叔父が嫌そうだった
だから速水からその名前を出すことも
その叔母に会いたいと言うことも
言ってはいけないことのような気がしていた

でも、いよいよ会えるのだ

学校の手続きが終わって
誰にも会わないまま
学校は辞めた
あの、電話をかけて来た親も
そうなったら何も言わないだろう
学校にはなんの未練もなかった

女子たちには
どうせ、変な噂が流れていて
嫌われていたし
男の子たちにとっては
すぐにやらせる軽い女だった
自分から友人になりたいなんて
思う子は誰もいなかった