....の無い

話はただただ金の無心だった
黙って聞いているだけの
康太に男が

「姉さんに聞いたんだけど
こいつが住んでた家を売ったお金とか
爺さんや、こいつの旦那の保険金とか
あんたが全部持ってったんだって?」

康太はミキがそんなことを
言うはずもないのはよく知っている
康太はかなりまとまったお金を
姉から貰ったが、これは
自分が仕事について落ち着いたら
姉と住むマンションを買うか
姉が結婚なんてことになったときに
渡そうと、まったく手はつけていなかった

それを全て渡して
姉のところへやって来たのだ
話をすると
ミキはため息をつきながらも

「良かったわ、あなたさえ
やっていけるのならば
それが一番だわ」

「どうせあっという間にあの男に
巻き上げられるんだよ」