.....の無い

ミキにはなんとなくわかっていた
案の定

「爺さんが死んで、父さんも死んだんだろ?
ずいぶん帰ってこなかったから
放っておいたけれど
その、お金どうしたの?
家も売ったんだろう?
私の取り分ってあるよね」

こんなことだろうと思った
お金はすべて康太に持たせた

「色々あってね
借金もあったし、ごめんなさい
残ってないのよ」

「そうだろうね、あんたの今の生活見てたら
お金がないのはわかるよ
でも、それなりにはあっただろう
康太が持って逃げたのかい?」

母親の周りの人間はほとんどそんな人間だ
でも、康太のことをそんな風に言われて
少しイラっとする
そのミキの顔色は見逃さない

「康太なんだね」

「違うわ」

「ふ~ん、いいけどさ」