.....の無い

「ああ、戸田君によく似た女の人
美しい人だったし
沢村教授の描写通り
いや、もっと、雰囲気のある人だった
あれは、沢村教授の描写力の無さかな」

そんな事を言う
康太は沢村教授の自分に対する親愛
それを、この言葉でもう一度実感した

「あの、それで、その方は?
お名前はわかりますか?」

みつほは意気込んで聞く

「ああ、名前は小説と同じ翔子さん
....だったけど....
僕も通りがかりに見かけたくらいだから
.....」

そこで彼は口を閉じた
康太の後ろに沢村が立っていたからだ

「戸田君、聞きたいことがあるのなら
僕に直接聞いてくれよ
君の横顔を見るたびに、僕は
君の姉さんて人に会いたくなるんだ
この、ぼくの妄想が見当違いでもいいから
君のお姉さんには会って見たいよ」