おばさんであること

明美は自分がものすごく

緊張していることに気がついた

高校の頃の淡い想い

それが明美の色恋の最後だった

学生時代の合コン

母の勧める見合い

そして、父が見つけてくれた夫


どれもそれなりに楽しかったが

恋ではなかったし

いつだって平常心だった


でも、今は顔に血が上ってしまい

落ち着いて話すこともできない

そんな明美


「なんだか、明美ちゃんは

あの頃のまま年取っていないみたいだね

相変わらず純粋なんだね

きっと、いい家庭に恵まれているんだね

旦那さんやお子さんに囲まれて

幸せなんだろうね」


明美は普段ならそうだ!と答える

間違いなく幸せな専業主婦を演じている

いまもそう、すべきだと思った

でも、口から出た言葉は

自分でも思ってもいない言葉だった