発達障害の母
母はそんな私の言葉など全く聞く気がないようだ
「だって、なんだか、テレビの中の人たちみたいじゃない
今度生まれてくる子供もドラマの中の子みたいだし」
そう言いながら嬉しそうに持って行く
あ、そういうことかと納得する
村では誰もが貧しくて、そして、変化はほとんどない暮らし
誰もがお互いを見張りあっているようで
何かしでかせば、徹底的に叩かれる
でも、そこには村にいられないほどのいじめはない
蛇の生殺しのように長いこと小さな声で言われるだけだ
それは貧しい仲同士の暇つぶしのようなものだ
雅ちゃんの旦那とみっちゃんの後家の話は
かなり背徳感張るけれど、それを相殺するほどの
お金が見える
そこが村の人たちの心のどこかに
浮き浮きしたしまうような楽しさも運んできたのだ
もしかしたら雅ちゃんが旦那に殺されていたりしても
誰も、そこは口をつぐんで知らぬふりをするのだ
そしたら、いつかは自分たちも
彼らの財産のお相伴にあずかれるかもしれない
そんな期待を込めてみんな、彼らの家に足を運ぶのだ