その先

「お母様!こんなに遅くまで

どちらにいらしたんですか?」


嫁の剣幕はすごい

私はしめ鯖の包みを出して


「H料亭に行ってたんだよ

食べるかい?」


すると、嫁はびっくりしたように


「あの予約が取れないので有名な?

これが、あのお店のお土産?」


少しの間、鯖鮨に心が行ったらしい

しかし、すぐに


「孝之さん、愛人がいるんです!」


そう切り出した

私はこういう話は苦手で

そこに愛がないのならば別れればいいと思う


「そうかい。

別れるのかい?」