刷り込み

貞丸はフラッと彼女のランチに現れた
彼女は少し心待ちにしていたのだ
また、横に座ると

「今日はおにぎり二個だけなの?」

彼女は嬉しそうに

「最近忙しくって
おにぎりが精一杯」

「外食はしないの?」

「だって、飽きちゃうし、体に悪いでしょ!」

外食したいのは山々だが
とにかく貯金がしたい
東京で生まれてないし
地方の普通の家出身なのだから
倹しく生活しないとやっていけない
それでも、なんとか一千万近くたまった
これもひとつの楽しみだ

貞丸は

「明日もここにいるの?
僕が、ほら、あそこの和食屋さん
ランチ奢るから一緒に食べよう」