おばさんであること

「私はすごく楽しみにしてたんだから

チケットさえ買ってくれればいいわ

こんなに至れり尽くせりされたんじゃ

帰って気の毒すぎるわ」

 

明美がそう言う

満里奈は平身低頭でそれまで相手の本来の姿が見えなかった

落ち着いてよく見ると

年頃は自分と同じくらい

服の感じからビジネスウーマンとは思えない

平日の午前中だ

しかし念のために

 

「この後、お仕事とかないですかとかないですか?」

 

美也が

 

「専業主婦なの」

 

そう言うと二人とも自分もだと言いながら

その専業主婦という言葉に三人ともそこはかとなく

優越感を抱いている