発達障害の母

「ちょうど、みんなでお箸をつけよう

ってする時に

隣の家のチャイムが聞こえてくると

立ち上がって家族の目の前で居間の窓を開けて

誰が帰って来たかとか誰が訪ねて来たかとか

わざわざ見に行くのよ

そこまでは、まぁ

いや、そこまででも

ちょっと子供ながらに『えっ』て思うのに

近所のおばさんが訪ねて来ていて

それから隣のおばさんと話しでも

始めようものなら

もう、夕ご飯も忘れてその話に

聞き耳をたてるのよ

家族のほうに「しずかにしてて!」って

言うように、唇に人差し指を当ててね」


吉川は少し笑いながら


「でも、隣近所の人間関係に悩んでいたとか

そうせずはいられないくらい

近所の人からいじめられていたとか.....」


私はお隣のおばさんを思い出した

私にはいつも優しい人で

そこには中学生くらいの

お姉さんがいて、

私はそのお姉さんが大好きで

お泊まりしたりもしていた

そんな時のおばさんはいつだって

優しかった

いじめている母親の子供なんて思ってもいなかっただろうし、子供ながらに母につらくあたっているなんて考えられない