ミキの遺産

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小百合は一気に嫌悪感でいっぱいになった
小さなころから、水商売なんてところは
会ってはならないもので
小百合が生きる世界には必要なものではない
母も父も、祖父も祖母も、みんなそうだ

いや、実際は違うかもしれないが
そう思って生きているのだ

祖父の住んでいる離れのほうは日本家屋で
美しい日本庭園がある
自分たちの本宅は,美しいバラが渦巻くイギリス庭園だ

そんなところで生きている小百合にとって
酒を飲んでくだを巻くとか
女が男にしなだれかかって、お金をもらうとか
それは悪であって、決して知りたいとは思ってはいけない場所だった

康太さん
小百合が康太の写真と経歴を見て
一瞬で好きになった人
彼はこういう所で生まれたのだ

どうして?こんなところで生まれた人が
東大に行けて、弁護士になんかなれるの?
自分の贅沢で華やかな周りでも
誰もが行けないと悩んでいるような大学で
弁護士の先生は、家にもよく来たが尊敬すべき人だ