ミキの遺産
「やっぱり、そう言うことだったのね」
「そう、あの店で正二さんがお金を儲けて
それを元手に株を始めて莫大なお金に増やしたのだけれど
その、儲けたお金はお姉ちゃんが
障害のある人に優しかったから
口コミで、そのことが広がって
お金のある障がい者なら北海道や九州からも
お姉ちゃんを指名しに来たらしいからね
あんまり、そう言うことだったってことで落ち込まないでね」
みぃは少し速水に遠慮しながら言った
速水は首を振りながら
「私がそんなこと思うわけないよ」
そう言って、母のことを思い出した
本当に優しい人だった
康太は何もわかっていない風を装っていたが
もちろん、わかっていたのだろう
速水は人に大ぴらに言えないことだけれど
母は確かに私たちに素晴らしいものを残してくれたと
しっかり確信した