ミキの遺産

イメージ 1

「あ、剣崎と言います
あの、名刺を和尚に渡したのは
僕の祖父なんです」

速水は全く話が想像できずに
コーヒーを入れて待った

「祖父はあなたのお母様であるミキさんに
深い恩義を感じておりました
一度、お礼ををちゃんと言いたいと思いながら
あのあと、体調を崩して
老人性の肺炎であっという間に他界してしまいました
僕も、祖父から亡くなった父のことで
話は聞いていましたし、名刺を渡したままでは
さぞ気になって気持ち悪いことだろうと
思いましたので、こうして訪ねさせてもらいました」

この、若い男性に母が一体どんな関係があるのだろうと
速水は不思議に思った

「僕がこうして生を受けて、幸せに暮らしているのも
すべてお母様のおかげなんです」