小百合の幸せ
綾子は自分がどんなに幸せか気が付きもしない
この、幸せで、頭の悪い奥様に
コテンパンにやっつけられた
かろうじて笑いながら別れるのが綾子の最後のプライドだった
小百合はいつものようにお金を払おうとすると
だいたい、学生時代からの仲間は
その後、どんなところのお金持ちの奥様になっていようと
割り勘が常だ
綾子が先に出て、二人分、払った
そして、世の中の流れが専業主婦などバカだ
そう、変わって言っていることを盾に
「ここは私がおごるわ
私、これでも部長なのよ」
そう言って足早に去った
もう、小百合には二度と会わない!
そう決めて
小百合はいつもの綾子じゃなかったことに
少し、首をかしげたが
おごってもらえたことを喜んで
章子の好きなクッキー缶でも買って帰ろうと
思った
綾子と別れた後は、いつだって気持ちがいい
何でも喋れるし、綾子は小百合を絶対否定しないから