小百合の幸せ
小百合に悪気はない
そんなことはみんなわかっている
でも、悪気がないからと言って
相手を傷つけてはいけない
みんな言葉にせずともそんなことはわかっている
小百合にはそこはわからない
綾子にとっては小百合のそんなところが心配なのだ
中学のころから、一歩間違えば
みんなにいじめられてしまう
そんな危うい立場にいつもいる
綾子は小学校のころから
学級委員を務めるような、つねに
『みんなをどうするか?』と言う立場で生きている
本当によけいなお世話だし
小百合にしたっていじめられても、家に帰れば
ちゃんとした親がそろっていて
金銭的にも恵まれているから
何も怖いことなどないのだ
それでも、そんな対照的な二人は
つかず離れず高校まで仲良くしていた
大学は綾子は内部進学はしなかったから
それからは一年に一度くらいは会うことになる
それも、小百合から連絡することはない
年賀状ぐらいは出すが
だいたい、何でもよくできて上から目線の綾子は
好きではないのだ