タケオという男

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健全は恋愛は所詮、妥協と打算の積み重ねで
それを隠すために不倫を追い詰める世の中になっている
父が常々話していることだが
父は母に対して常に恋をし
常に母一人を見ている気がする
あれは理想だし、それなりの紆余曲折があったとは思うが
できるのならば、タケオを相手に
自分にもそんな愛が訪れてくれたらとため息をつく

「安心して、この春には大学生になって
まともなバイトも始めるし、奨学金もとるよ」

さわやかな笑顔で遠ざかる彼にやはり胸をときめかす
しかし、タケオが有名私大に合格して
入学金を用意して、二人のいつも会う店に行ったら
あっさりと

「いままでありがとう
実は俺合格を聞いて、すぐに家に帰ったんだ
親も喜んでくれてさ
一人で頑張ったって、褒めてくれて
大学の費用はすべて出してくれるって言うんだ
それに家に帰って来いって言うから
帰ろうかと思う、大学から実家のほうが近いし」