康太の深淵

するとミツホの父がスッと席を立った
母親はずっと、誇らしげに
話し続けている

「幼稚園の時は公文をさせてね
やれと言えばいつまでも楽しそうに
やる子だったのよ
小学校のお受験も親の言うことは
完璧に聞くから楽だったわ~
とにかくやりなさいってことは
完璧にやるの」

そうだろうか?
康太がやめろと行ってもやめないことは多い
康太はやりなさいなんて言わないから
そこのところはわからない

しかし、大学に入るまでは
すべてマニュアルがあって
それを母親がやれと言えば
やる子供だったらしい