街の灯り

そのお爺さんのところに行くと
話がしたくて仕方なかったのだろう
嬉しそうに、二人を見て
人懐っこく笑う

「ん~?何か聞きたいんだって?
この店の4,50年前の話?
たかちゃんって男がいた頃?」

そう言ってしばらく考えていた

「ああ、色男でお客が飲んで帰れなくなったのを
送って行って、そこの娘と結婚したやつか
あいつも人生ものすごく間違えたもんだな
あんた、あの男の子供?
いや、孫かぁ?」

「はい、孫ですけど
お爺さんがどうして、ここで仕事をすることになったのか
知りたくて、調べているんですけど」

「ああ、あれの実家は文京区のほうだよ
家は何でも立派な家系だって聞いたよ
江戸時代から医者の家だって」

ミキはこのおじいさんの記憶違いだと思った
あの爺さんの生まれがそんなに立派なところだなんて
絶対に考えられない