街の灯り

おばあさんはミキのほうを気の毒そうに見ると

「ミキちゃんにはわかるだろう?
あんたのお母さんがそっくりだったからね
だいたい、たかちゃんを射止めたのも
私らは恥ずかしがって、夜、お父さんを運んできてくれた
たかちゃんにお茶を出すのがやっとだったけど
ふみえちゃんは、まぁ、やり手だったからね」

おばあさんに言われずともそんなことだろうと
ミキは思っていたから
先の話が聞きたかった

「それがね、結婚した後
たかちゃんも水商売だから
まぁ、女が放っておかなかったし
ふみえちゃんも好き放題遊んでいたんだけどね
そのうち子供ができると、
あんたのお母さんさ!
たかちゃんは大喜びで
ちゃんと子供の面倒を見ないふみえちゃんを
殴るは蹴るわ、大変だったんだよ
近所中で止めたりしてね
いまなら、ドメスティックなんとかで警察行きだよ
それでも、まだ、その頃はふみえちゃんの親がいたから
二人が赤ちゃんの面倒を見てたんだけどね

ちょうど、そんなころだよ
あの事件が起きたのは
ふみえちゃんは母親になったのに
派手な格好をして飲み歩いていたから
川向こうのやくざに目をつけられてさ」