街の灯り

そんな休日にショウはやってきた
正二にそっくりだった

「こんにちは
初めまして、僕、ショウです」

あの、屈折して、卑猥な世界だけしか知らずに育った
正二の顔をして、ショウはさわやかにやってきた

部屋に通すと物珍しそうに見回りながら

「素敵な家ですね
昭和のにおいがしっかりする
僕、外国暮らしが長いし
ママのところはフランスにかぶれていて
めちゃ、ヨーロッパ風な部屋で
日本に帰って来ても、まったく日本らしくないんです」

沢村は嬉しそうに

「僕はみぃさんのところに入ったことがないけど
莫大なお金がかかっているんだろう?
そこより素敵だと言ってくれるのならば
君は日本的な優しいセンスがあるんだね」

ショウは目を輝かせながら

「日本の映画、たくさん見ました
オズヤスジロウ、それから、トウキョウタワー
昭和が好きなんです
庭とか見て回ってもいいですか?
速水に聞きました、生まれた家はすごく昭和だって」