その先

それから、充君は

学校に来ない日が多くなった

もちろん、来なくてもこのアホな担任の

授業なんかとっくに理解してるし

この学校の子供で彼の

遊び相手になれるような子はいない


それでも、たまに学校に出てくると

私の横に来て


「最近何してるの?」


そんなことを聞く

私が家で開成のお兄さんにもらった

問題集をやっていると言うと

驚いたように


「ほんと?それ、僕もやってみたい

今日、遊びに行ってもいいか?」


別に断る理由はない

学校から帰ってみると

充君がもう、家の前で待っていた

お母さんは充君のことは聞いていたから

美味しい揚げドーナッツをたくさん作ってくれていた


2人でそれを食べながら

ああでもない、こうでもないと

楽しそうに解いていると

お父さんがその様子を見て


「花!その問題集

公民館でコピーしてやろうか?

充君!毎日、ここに来て勉強するにしても

二冊あったほうがいいだろう?

あの開成の兄ちゃんにも

また、連絡取ってもらって

いらない本や教科書もらってやるよ」


そう言ってくれた

充君は本当に嬉しそうに頷いて

2人で楽しくドーナッツを食べた