その先

私はすぐに頭に充くんが浮かんだ

いや、村の誰もがそう思ったし

あの婆さんと同じ屋根の下に暮らしていたら

そうなるのかもしれない


充くんの家は後ろの土地に

大きな家を建てる途中で

なんだか落ち着いていなかった

警察の車が止まっていた

小さな村だ

調べればすぐに充くんの名前が出たのだろう


私が遠巻きに、家を見ていると

後ろから声がした


「花!俺が犯人だと思ってるのか?」


私は慌てて首をふった

いくらなんでも

そんな残虐なことはしないだろう

一緒に勉強してみて

すごく冷静で頭がいいのは知っていた

でも、こんな逆境にいたら

おかしくなるかもしれないとも思う


「俺、犯人知ってる!」


「え?警察に言わなきゃ!」