その先
「何で?」
私は言葉に詰まった
警察に知らせるって言うのは
当然のことじゃないの?
それに、今、充くんがきっと疑われてる
「警察に言うのが本当だって
わかってるけど
真面目にちゃんとしていたって
いいことなんかひとつもない
犯人を脅してお金を取る
そして、婆さんから逃げだして
1人で生きる」
私は充くんの言うことが
嫌になる程、よくわかった
母親は充くんを置いて離婚
父親は病気で死亡
引き取ってくれる親族は
あの婆さんだけ
父親の保険金は全く充くんには渡らない
噂だと食べ物もまともに与えられてないとか
私は何とも言いようがなく
「うち来て、ご飯食べない?
今日、母さん。カレーって言ってた」
私が通っていた小学校は
給食がなかったから、充くんは
この村に来て以来、
ろくなものは食べてないはずだ
そう、何となく思ったのだ