その先

「アイツって誰?

あの鎌持って歩いている人?

あの人はそんなことしないと思うけど」


充はこの村に来て

まだ、日が浅かったから

鎌の人は知らないはずだ


「それ、誰?俺が言ってるのは…」


充くんは躊躇した

それはそうだろう

脅迫しておばあさんを

殺してもらうとまで言ったのだ

急にごまかすように


「とりあえず、安心して

絶対に僕じゃないから

それより、あの婆さんは僕が帰らないことで

この間のように怒鳴り込んでこないのかな」


私は充くんを気の毒そうに見ながら


「うちに置いといてくれると

ありがたいって、あの家から

犯人を出すわけにはいかないからって

うちのお父さんに言ったらしい」