その先

充は躊躇していたが

カレーなんていつぶりか忘れるほど

食べていない

大人しく私についてきた


母は大喜びで


「充君はカレーに何入れるのが好き?

うちはお父さんは唐揚げで

花はゆで卵!

どっちものせてあげるね」


父も嬉しそうに私を見た

よく連れてきた!と言ってるようだった


充君はただ黙々と食べながら

ポタポタと涙を落とし始めた

母が黙ってティッシュを渡した

私も涙が出てきた

お父さんが死んでから

何もいいことがなかった


「カレーに唐揚げって、

お父さんが作ってくれた

ゆで卵も美味しいんだな!」


お母さんも泣き出してしまった

すると、お父さんが


「しばらく、ここに泊まれよ!

婆さんには何とか言っておくから」