その先

「ごめんなさい

お母さんに逆らう勇気も

気力もなくて

お父さん、あの時、

私はついていくべきだったのね」


「もう、過去のことは言うなよ

あの時はおばあちゃんがお前に無理を言って

どうしようもなかったくらいわかっている

今考えたら、

婆さんも母さん、そっくりだっただろう」


すると、信行も


「僕も大学生の時に随分調べたんだ

逃げる猶予は物理的にはあったとしても

精神的に拘束されていると

身動きできないらしいから

母さんのせいでもなんでもないよ

ただ、父さんたちも手をこまねいていた

わけではないんだ、ずいぶん、おばあちゃんには意見したらしいよ

でも聞く耳を持たない人だったから」