その先

「妻が不妊症でね

あなたの孫に当たるのならば

ぜひ育てましょう

そう言ってくれたから、

うちで育てることにしたんだ

もうすぐ帰ってくるから」


そう言っている間に

澄子ちゃんによく似た

30前後の男の人が

寿司桶を抱えて入ってくると


「母さんが来てるって?

お寿司、こんなんで良かったかな」


父親は嬉しそうに


「彼が澄子の子供で、高校の先生をしている

信行だよ

あ、信行はすべての経緯を知っているし

何度も遠くから澄子を見ているからね」


驚いて倒れそうなのは澄子ちゃんだ