その先

「仕事は何をしていたの?」


澄子ちゃんは恥ずかしそうに俯いた


「最初はね母の希望通り

大学を出て大手の銀行に就職したの」


「まぁ、すごいわね!」


「就職した途端に

帰りも遅い、人付き合いもしなくちゃならないし、飲んで帰ることもあったんだけど

母はそれが我慢できなくて

もう、やめなさいって言い出したのよ

まだ、家でそう言っている間は

良かったけれど、とうとう

私が無視していたら

自分で退職届を上司に持って行ったの」


「そ、それはすごいわね」


「仕事はキツかったけれど

銀行に行っている間の方が

楽しかったんだけどね」