その先

澄子ちゃんのその言い方に

私はしみじみ


「苦労したんだね。ご苦労さん」


そう心から言った

どんな人生かはわからないが

あの母親が先月まで一緒だったのなら

澄子ちゃんの苦悩はよくわかる


「あれから、東京のこの家に帰って

私は中学受験をしたの

でも、母の気にいるところには入れなくて

私は父の勧めに従って

大学まで内部進学で行ける

Y女子大の付属に入ったの」


ああ、田舎ではとてもすごい

お嬢様学校で通っているところだ


「父はそれで、十分だ

この学校で英語が完璧になれば

就職だっていいところに入れるし

女子アナ御用達の学校だって

喜んでくれたんだけどね

母の頑なさは父や私には

どうにもできなかったの」