その先

「なんか、変わってないわねぇ

東京にはどうして?」


澄子ちゃんは落ち着いた口調で言う

私の方がドキドキしている

東京に来た経緯を話すと


「まぁ、じゃ、これからは

しょっちゅう会えるわね

お孫さんが中学生?いいわねぇ!

私は結局、結婚しないでずっと一人」


そう言われて周りを見回す

写真が一枚もない


「ご両親は?」


「母が先月亡くなったの

父は私が中学の時に離婚して以来

会ってないわ」