その先

それ以来、村の誰彼に会うと

澄ちゃんの母親は


「花ちゃんって子は抜け目がなくて

こまっしゃくれている」


そう、吹聴して回っているようだった

私は全く気にもしなかったし

村の人間は、澄ちゃんの家の父親には

何かとお世話になるから

『うんうん』とは言っているが

うちの家のことはよく知っていたから

本当は全くそんなことは思っていなかった

親たちも、まぁ、お世話になってるから

仕方がないと思っている


秋になって学校が始まると

一番仲良しのミクちゃんが


「聞いたよ!なんか大変だったんだよね

うちのおじいちゃんが、澄ちゃんのお母さんは、知らない土地で苦労しているから

少し神経質になっている

花ちゃんに気にしないように言ってあげなさいって」


ミクちゃんのおじいちゃんは村のお医者さんなのだ