ひとつ先

トミーは納得した


「僕にはわからないけど

パパがママを好きなのはわかる」


「フフフ、恋とか愛は不思議でね

欠点が魅力的に見えるのさ

パパは田舎で生まれて

派手な女の子にいつも憧れていたけれど

実際はクラスの隅で

見ているだけだったんだ

でも、東京に来てママみたいに裕福で派手な

人に愛されて、それで十分幸せなのさ

それにトミーはパパそっくりだし

パパは十分幸せなの」


トミーはアインを抱きながら


「じゃ、猫飼おうかな

ママは僕のこと、反抗期だって言うけれど

そういうことじゃないんだ」


「反抗期なんて馬鹿な子供のすることさ

パパにもそんな時期はなかったよ

それは反抗期なんかじゃない、トミーが本当の親の姿に

気が付いたからさ」