ひとつ先

そんな風に固定観念を押し付ける

間違った常識が、世の中に蔓延っていた

そんな時代だった


田舎の貧乏人は東京の私大になんか

入るわけがない

嫁は私たちの家を見て

すぐに愛想笑いをしながら帰っていった

それでも、婚約を破棄しなかったのは

息子を手放せないほど愛していたのだろう


そんな愛も孫が生まれて

子育てが始まると

消えてしまった

息子や息子の実家への遠慮なんかひとつもなくなった


もちろん、私たちは何一つ口は出さない

彼女は一生懸命、自分と同じように

トミーを育てるために

持参金を取り崩し

実家にかなり、

お金を融通してもらったようだ


大企業のサラリーマンとは言え

貯金も財産もない息子には

小学校から私立なんてとても無理だ