誘惑の花

「だって、東京には知り合いはいないし

どこかで暇潰す、お金もないしな」

 

「仕事で来てるんだ」

 

「うん。お世話になってるおっさんが東京の知り合いに

頼まれて、それで来たんだ

給料いいし・・・」

 

そこで俊哉は言い渋った

多分、京子もいるしって言いたかったんだろう

前の女ったらしの俊哉ならば、絶対、さらっと言った

ああ、結婚したんだな

俊哉の給料は真面目に働けば、あっという間に100万溜まる

そう言ってたはずだ、それがお金がないとは?

ああ、美奈子が管理してるのか

美奈子って女は俊哉を普通の男にして、何が嬉しいんだろう

そんな憤りを感じるが

それは嫉妬なのだろう

自分が結婚しても、仕事で家を空ける俊哉にお金は渡さない

 

「じゃ、泊るところの手配はしてくれているんでしょう?

そろそろ、帰ったほうがいいよ

田舎と違って電車はたくさんあるけど、終電って

ちゃんとあるから電車なくなっちゃうよ」