逃亡

それでも、田舎の婆さんが考える一番えげつない行為よりも

もっと、嫌らしいことだったのだろう

結婚式の三日後にはその嫁は、真っ青な顔をしていると

村中が同情していた

その嫁に手を差し伸べたのがうちの夫だ

 

うちの爺さんがそういう若い女を放っておけないのは

よく知っていた

若いころから良くモテていた

とにかく優しい

そんなにモテたのに私の夫に落ち着いたのは

私が村で一番不細工だからだった

だから、その嫁と手に手を取って村を出た夫を

村の誰もがほっと胸をなでおろし

あそこの奥さんなら話のわかる人だから

そう、誰もが私のことを思っていた

私が村を出る前の日

真っ青な顔をしてシカオがやって来た