発達障害の母

その彼女もうまかったし

最初は事務所にお金を出してもらって

華々しくデビューしたのだが

それも、ほとんど売れずに、その一曲をもって

地方を回って回る人生

結婚もせず、親に山を売ってもらってCDを出し

親に田んぼを売ってもらって、各地に歌いに行く

いや、それもいい

彼女は今もそれをやっていると言う

今では飲み屋を回って回って、お客のリクエストを歌う

もう、50は過ぎているのだ

まぁ、先祖代々の山や田んぼを売った親も

彼女もそれでいいのならば、私が何か言うべきことなど

何もない、人それぞれ幸せの基準は違うのだから

もしかしたら、私の人生よりも

彼女の人生のほうが素晴らしいのかもしれない

田舎の人の目を気にして、都会の常識に必死でついて行った

私の人生なんかむなしいものだ