#練習用

小百合の幸せ

綾子は全くお金も貰えないまま 放り出された そこからは苦難の連続 それでも、歯を食いしばって大学を卒業して 今の仕事を手に入れ 夫と結婚して、何とか子供も大学まで行かせた 特に子供の教育には小百合や学友たちには絶対負けたくないと 苦労して今の大学…

小百合の幸せ

人の気持ちを考えずに、思いついたことをしゃべるのに 家に帰れば、父や母は愛にあふれた家庭がある小百合 学校では一日中、友達の間にいるときは 本当に思っていることは心深くに隠して 常に正しい、相手が喜ぶことを話す 授業は全力で受けて、勉強も完璧に…

小百合の幸せ

小百合のように、回りの空気なんか無視して 話したいことを話す 世の中を敵に回したって、怖い物なんか何もない 自分の思ったことをのびのび言って 相手の反応など考えない 綾子にしてみれば夢のようなことだ だいたい、母は父親の家のお金のこと子供のこと …

小百合の幸せ

お妾さんの子 幼稚園のころまで 父の地位のおかげで、大っぴらに そんな風に言われたり、いじめられることはなかった でも、綾子自身が何をしても なんだか一人前じゃないような気がしてた 小学校に合格したときも 父の力のおかげだと母は言った 綾子はその…

小百合の幸せ

綾子は話を聞きながら 雅紀が、ある才能に恵まれているのだろうと理解する 今、ようく言われている発達障害だが 反対に違うベクトルが素晴らしい人間もたくさんいる 普通でいることが正義であるような社会のなかに 全く違う天才のような人間たちがいて その…

小百合の幸せ

「それがね、みぃさんが会社を大きくしたのって どうも、お義姉さんの子供の速水さんのおかげらしいのよ 速水さんも中卒なの! 何か怪しくない?」 綾子も不思議には思ったが 「ご主人の御家族って、学歴なんか関係ないほどの 有能な一族なんじゃないの? だ…

小百合の幸せ

「まあね~彼氏どころじゃないんじゃないかしらね 小百合も大変ね~ でも、回りはみんな、それで納得してるんでしょう?」 「そう、うちの母までもそう言うのよ 私が高校の時に章子みたいなことをしたら 気が狂うほど、怒ったと思うのに 孫には甘いのよね」 …

小百合の幸せ

綾子は小百合との長い付き合いを思いながら 小百合の話を聞く 康太のこと、章子のこと、章子の恋人の話 今、小百合の周り、実家の母ですら 何でも、『良かった良かった!』で終わる 小百合もその言葉に合わせて 『本当にそう!』なんて言っているが 全く納得…

小百合の幸せ

好きではないが、娘や夫に友人はいないとは言えない 何かの折に友人はと聞かれれば 小学校からの友人として綾子の名前を出す 一年に一度くらいあったりするのだが その時に小百合は綾子の夫の仕事や 子供の学校が気になって仕方がない 綾子は本人も夫も官僚 …

小百合の幸せ

小百合に悪気はない そんなことはみんなわかっている でも、悪気がないからと言って 相手を傷つけてはいけない みんな言葉にせずともそんなことはわかっている 小百合にはそこはわからない 綾子にとっては小百合のそんなところが心配なのだ 中学のころから、…

小百合の幸せ

小百合がみんなから煙たがられるのは 皆がわかってても言わないことを口にするからだ クラスの中で気持ちも優しくて明るくて 勉強もできるカスミ 皆が大好きなんだが、体重が100キロ近くはある 誰もが、そこは口にしない所を 小百合は誰かがカスミを褒めると…

小百合の幸せ

小百合には友人はいない 自分では綾子を友人とは思ってはいない 綾子は友人がいない子ではなかった いつだって、クラスのリーダーシップは彼女が取る 頭の回転が速くて 明るい笑顔をの人ではなかったが思慮深くて そして、スタイルがいい 女子校だった小百合…

小百合の幸せ

小百合には中学のころからの友人がいる 小百合には実は友人はいない 章子はそう思っている 小学校のころからの知り合いはいるが 子育てが終わって、一緒に旅行にでも行こう なんて誘ってくれる友人は絶対にない だいたい、人のうわさ話が嫌いなのだ 噂話なん…

小百合の幸せ

雅紀は今は女には全く興味ない だから、小百合が願えば、今ならば別れられるだろう しかし、章子は計算高い、いや、本質を見る目がある これから、雅紀はきっと、成功する そう思っているのだ 康太だってそう思う 何といっても、みぃの会社がバックアップし…

小百合の幸せ

「でも、何も、高校生なのに 男の子を好きになって、結婚まで考えるなんて 私の若い頃ならば そんなことは不良娘のすることだったのに」 小百合の中では高校生で結婚して子供を産み そのまま学校をやめてしまう 昔のヤンママのイメージが章子に重なってしま…

小百合の幸せ

もちろん、最初の事件の時 帰って来なかったのは章子が雅紀を好きで仕方なかったのだろう しかし、その後の様子はちょっと、違う気がする 今、雅紀はその才能を買われて みぃの元、夫と二人で新しく会社を立ち上げようとしている 章子はその雅紀の才能にいち…

小百合の幸せ

「よかったじゃないか 僕もそう思うよ 雅紀君が特異な子であることなんか 君がすべて許すなんて ものすごく、素敵なことだともうよ」 康太はうまく言ってみた だいたい、章子と二人で小百合の意見や考えは 全部無視したのだ でも、無視されたとは小百合はわ…

小百合の幸せ

康太も今の小百合といると面白いし ホッとする 「ねえ、今日、ほら、章子の仲良しで一穂って子の お母さんに偶然、会ったのよ」 「ふ~ん、ママ友だった人? 章子の仲良しなら、今でも、学校の参観日なんかに 会うんじゃないの?」 「ほら、不倫した人よ そ…

小百合の幸せ

「一穂、勉強全然しないの 何やかや言ったって、娘って母親に似るのね お兄ちゃんは、大学は言っても勉強勉強で 女の影もないんだって」 「ああ、あそこのお父さんもそんな人だったわね」 小百合はそれよりも今の章子の言葉 『娘って母親に似るのね』 に心が…

小百合の幸せ

「なんだか、私にはわからないけれど あの人幸せそうだったわ それに、やたらと褒めるのよ 前からお姑さんとはうまくいってなかったし のびのびと楽しいんでしょうね 私だったら離婚なんかされたら 生きていけないわ」 章子は笑いながら 母が父を愛していて…

小百合の幸せ

章子は何があっても 小百合が作ったものを食べたり 一緒に食事やお茶をしたりすることは できるだけやってあげようと思っている 多分、母には人間として大事な何かが見えてないのだ 父がたまに母のことを、可愛そうな目で見ているのには 気が付いていた 小百…

小百合の幸せ

「あの事でさ、私の実家ってものすごく硬いのよ それで、実家から絶縁されて、絶縁するにあたって 先に財産分与をしておくってことで マンションとかいくつか貰ったんだけど その中の一つで彼と暮らしていたの 一緒に暮らし始めたら、夫のほうがましだったこ…

小百合の幸せ

一穂の母親は、奔放なだけあって 歯に衣着せぬ言い方をする でも、心から褒めてくれているようだ 「それで、その彼が起業して 会社を興すんでしょう、 部下が超エリートなんですって? まれにいるわよね~ 本当の意味で頭のいい人 頭がよすぎて、高校や大学…

小百合の幸せ

「え?」 「だって、ほら、あの学校、ちょっと古い考えの お母さんたちが多いでしょう その、筆頭が小百合さんだって思ってたのでも、全然違うのね 私自身も随分奔放なほうだし、娘にはできるだけ のびのびとした恋愛をしてもらいたいと思ってるけれど 高校…

小百合の幸せ

「なんだか、元気無さそうね 章子ちゃん、彼氏ができて ものすごく幸せそうだって聞いたけど」 母親の元には三人の子供の誰一人行かない そう聞いていたから 驚いた 「ああ、一穂とは高校に入った頃から 少しずつ連絡を取り合っていて 最近では週一くらいで…

小百合の幸せ

一穂とは章子は今でも友人で 仲が良いとは聞いている でも母親とはそれ以来、連絡はしなかったし 向こうからも連絡は来なかった 小百合にとっては不倫なんかした人間は 地獄に落ちるしかないという認識しかない 一穂のとこをを考えたら、小学校の そろそろ色…

小百合の幸せ

「あ!」 その人は小学校で章子の友達の母親だった 小学校五年でもう、話もしなくなった人だ それまでは、お互いの家を行ったり来たりして 子供も交えて仲良くしていたのだが 彼女、里山もその頃から学校の参観日や 行事に来ることは無くなった 最初に聞いた…

小百合の幸せ

今まで一生懸命信じていたことが バラバラと壊れていくのに それが人に褒められたり 章子の幸せになったり 少しも意味が解らない 章子のことも康太は当然反対するものと思っていたけれど みぃのところに就職させたり とにかく、今は自分が家族の中でどの位置…

小百合の幸せ

小百合は大学のころからずっと続けている お茶の先生のところからの帰り ぼんやりとしたくて、カフェに寄った 小百合にとっては珍しいことだ 紅茶好きで家には素晴らしいティーポットも持っているし 母がよく、おすすめの紅茶をくれる その辺りの喫茶店、カ…

小百合の幸せ

小百合はそこまでは考えない それは正しいことだ しかし世の中の多くの人は口に出さずとも あえて、危ないところに行った人間にも 罪はあると考えている そういう、危険に関することは たいがいの人がわかっていることだし それこそ、法律とかではなく 家庭…