康太の深淵

康太は姉のミキが家族の
特に康太のためには心を砕いてくれて
食事も本当に心を込めて作ってくれていた幸せを思う
勉強で疲れた時にほんとうにちょうどいいタイミングで
軽い食べ物を作ってくれたり
中学に入るまでは勉強するべき問題集を
ひたすらコピーしてくれたり
お金もなかったし、父母は康太に興味はなかったし
祖父はただ、楽しく生きていたい
そんな環境の中、あの家に帰りたいと思わせてくれたのは
姉の優しさだった

今、ミツホとの家庭にはそんなものは一つもない
なぜ、自分がミツホと結婚したのか
後悔でいっぱいになる
慣れてくると、康太が朝、家事に関しての的確な指示をして
ミツホはそれをやりきることだけが
二人の結婚生活だと考えている

康太は家に帰ることそれ自体が、苦痛になって来た