誘惑の花

京子が丁寧に手を合わせると

 

「ありがとうございます

うちのは若いころ、相当悪かったし

二番目の娘にあんなことがあったあと

何やかや色々あって

人にまた嫌われ始めてね~

二番目の娘は私たちの子供にしたら

よくできた子だったから

うちの人も大喜びで期待してたものですからね」

 

そんなことをつらつらと話してくれる

田舎の人は人懐っこいし

墓参りまでしてくれる相手には、おしゃべりしたくなったのだろう」

 

そうですかと相槌を打ちながらも

ふと気になって

 

「上のお嬢さんは?」

 

すると、顔を曇らせて

 

「ああ、あの子は昔の悪だった俊哉そっくりで

悪いことばっかりして、ここにはいられなくなって

出て行ってしまいました

今はどこで何をしてるのやら

父親と妹がこんなことになったなんてことも

多分知らないままでしょう」

 

美奈子はうんざりしたようにそう言った

俊哉の話や妹の話に愛は感じられたが

その娘のことは、おざなりで

これ以上の面倒はごめんだと言うように帰って来ないのに

ホッとしていた