誘惑の花

彼女は小太りのおばさんとなり

気軽に冗談を飛ばしたり、夫への不満を

面白、おかしく話したりして、高校のころとは

ほとんど同じような明るい笑顔だった

でも、京子は彼女と話していても

少しも楽しくなかった

それは、この数十年の間、職場では戦いの連続

家では子供たちの教育を必死でやって来た京子としては

彼女と自分の間に大きな山が出来たのか

それとも深い谷が出来たのか

なんだか、分かり合えない不思議な空気出来ていた

お互いの話、高校の頃の他の友人の近況なんかを話して

もう、話すことがなくなったときに

 

「あの、ほら、中学のワルだって言ってた」

 

「あ、俊哉のことでしょう!

あれはビックリしたわね~」